精神安定にはサバ缶

前回、自殺者は非自殺死亡者に比べ、眼房水のリチウム濃度が低いというレポートを引用しました。
今回はこれに関連し。すこし視点が変わりますが、こういった研究を進める強力な手助けになるだろう、「双極性障がいの躁・うつの両方の症状を示す世界初の動物モデルの作製に成功」というレポートから引用します。

◇ 双極性障がい症状を示すマウスの作製とリチウム等の関連

下図左の本来の意図は、作製マウスが双極性障がいあることを示す、低活動/高活動を起こすことを確認した上で、双極性障がいの治療薬である「リチウム」を添加したエサを与え、症状を示すエピソードが減ることで、双極性障がいマウスであることを確認するためだと思います。
ここでは、「リチウム」が双極性障がいに効果があることを再確認するために引用しました。

リチウム投与によるエピソード頻度の抑制
双極性障害の治療薬であるリチウムは、メスのヘテロKOマウスにおいてエピソード頻度の抑制効果があることがわかった。
(P<0.001, 効果量=中ANOVA; *P<0.01, 効果量=大, U検定)

DHAによるエピソード頻度の抑制効果
合成餌(DHAやEPAを含まない)にEPA、DHAを加えた餌で飼育しながら半年間の輪回し行動を記録した。 特にDHAを含む餌で飼育すると、メスのヘテロKOマウスで見られる低活動エピソードに対して抑制効果があることがわかった。 (P<0.05, 効果量=中)。

*ヘテロKO(ノックアウト)マウス
遺伝子ノックアウトの技法によって1個以上の遺伝子が無効化された遺伝子組換えマウス

上図左は「リチウム」が、「自殺」と直接的ではないですが、精神的不安定である、「双極性障がい」の行動抑制に効果的であることを示しています。

この研究では同時に、「EPA」「DHA」を添加した食事とそうでない場合とで、躁・うつの症状の出現(エピソード)回数がどのように変化するかを見ています。(上図右)
グラフでは双極性障がいのエピソードが「リチウム」同様に「DHA」でも低下する事が示されています。
「EPA」では逆にエピソードが増加していますが、他の研究でも、「EPA」は抗うつ等の効果が明確ではないとされているものが多いようです。エピソードが「EPA添加餌」で「通常餌」に比し増加している原因等については触れられておらず不明です。

📖 原情報・出典 
双極性障害の躁・うつの両方の症状を示す世界初の動物モデルの作製に成功
 https://www.juntendo.ac.jp/news/20230221-01.html
 順天堂大学大学院医学研究科 他

☞ 転載・引用
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イラストは次のHPから転載・編集し利用させていただきました。
 イラストAC https://www.ac-illust.com/



👀
「DHA」(オメガ3系脂肪酸)のうつなどでの抗不安効果は以前から言われていましたが、余りはっきりした調査・研究結果は目にしたことがありませんでした。
また、「DHA」は認知症の予防にも良いという話もよく聞きます。こちらはもろに私自身にも関わってきます(既に関わっている???)。 わかりやすいレポートがあれば見てみたいところです。
「DHA」と言えば青魚。本マグロの刺身と言いたいところですが、小まめな摂取が大切、とりあえずはサバ缶でもちょこちょこ食べ、心の安定に心がけましょう。値段もず~っとお手軽なようだし・・・。

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