メタ認知

今や、教育やビジネス分野を始めとし、広く知れ渡っているメタ認知。
メタ認知についてはWeb上に多くのコンテンツがあります。「メタ認知とは」的なことはそちらにお任せし、ここではメタ認知能力がなぜ必要か、それを高めるトレーニングについて簡単にメモしておきます。私の備忘録です。お付き合いください。

メタ認知能力があると、状況を正しく理解し適切な対応ができるように、感情や考え・行動を修正していけると言います。我々は時に、自分が置かれた状況や相手の反応に、過剰であったり、極端な感情・考えを持つことがあります。たとえば次のような行動パターンがその代表例になります。これは相手も同様であろう事は言うまでもありません。

歪んだ(バイアスが掛かった)行動パターン

  1. 敵意帰属バイアス
    他者の言動を“悪意のあるもの”と感じてしまう心理傾向で、相手の何気ない言葉や態度にも敵意を感じ取り、ときに親切心による言動にさえ勝手に敵意を感じてしまいます。相手に攻撃的な行動を示してくるときの認知の歪みです。
  2. 自己愛過剰
    尊大なほどに自信たっぷりな態度を示すかと思えば、虚勢を張ったり、尊重されないと拗ねたりキレたりして、不安定さを見せる人にありがちな心理傾向です。自分を主張する「誇大:grandiose」タイプ以外に、傷つきを恐れて防衛的になる「過敏:hypersensitive」タイプがあるとされます。
  3. .セルフ・ハンディキャッピング
    たとえ失敗しても自尊心を保てるように、あらかじめ自分にはハンディキャップがあると主張したり、実際にハンディキャップを作り出してしまうこという。自己防衛意識が異常に高く、不必要な言い訳が多い、また保身的な姿勢が強い人が取りがちな行動。万一失敗した時に、無能な人と思わせないように、あらかじめ自分にハンディがあることをアピールするもので、印象操作の一種ともいえます。

こういった状況は、パターンの強弱を別とすれば、誰にとっても起こり得ることです。もう少し認知的表現で行動や思考の歪を具体的にみてみます。

  • 全か無か思考     :1つでも失敗があれば、全て失敗したも同然だ
  • 過度な一般化     :一度失敗したから、この先もずっと失敗する
  • 心のフィルター  :人生の中で、いい思い出なんて一つも無い
  • マイナス化思考  :仕事が上手くいったのは、運が良かっただけ
  • 結論への飛躍     :この病気は決してなおらない
  • 過大・過少評価  :うまくできたのはたまたま、失敗したのは自己責任
  • 感情的決めつけ  :否定的になったら全部ネガティブにしか解釈できない
  • すべき思考      :すべきことなので、なんでも我慢する
  • レッテル貼り     :あの人は怖い人だから良いところなんて一つもない
  • 個人化        :悪いことが起きたら、全部自分のせい

これらも誰もが経験する認知の歪みです。要はこれらの歪みがあることを受け入れ、それに気づき対応することです。後述するトレーニングでは、これらの歪みに対する対応方法も取り上げられています。

メタ認知の効用

① 相手の反応や対応を踏まえた、良好なコミュニケーションを築ける
② 自分自身を客観視できるため、長所を高めたり、短所を克服したりできる
③ 自分の言動を日々振り返るクセがつくため、思考力が培われる

たった3項になっていますが、これが達成できれば、上記の認知の歪みも解決すると納得できます。メタ認知の高い人が多ければ、職場の雰囲気もよくなり、業務も円滑に進むようになると言います。それ以上に自分が楽しく毎日の仕事や勉学に臨めるようになります。そういった面ではマインドフルネスやACTと同じような効果が(補完的に)期待できるようです。

トレーニング

私のようなずぼら人間が、「なんとなくメタ認知を知り、日常に活かせる」、かも知れないと思ったトレーニング素材を上げておきます。

「うつ病のためのメタ認知トレーニング(D-MCT)」「精神病のためのメタ認知トレーニング」等と題されていますが、メンタル疾患の有無に関わらず、誰にでも参考となり、有用なトレーニングだと思います。「私は精神病ではないからメタ認知など無用だ!!」と思った方こそ、メタ認知トレーニングをお薦めします。

最初にも言及したとおり、「メタ認知のトレーニングだ!?」などと大仰にかまえず、日常の思考・行動のヒントとして眺めれば良いと感じました。トレーニングマニュアルは下記のURLから入手できます。
   https://clinical-neuropsychology.de/d-mct-manual-japanese/
ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センター臨床神経心理学科のHPですが、コンテンツでの説明、トレーニングマニュアル(PDFスライド)共に日本語で表示されます。
 *ダウンロード自体は無料ですが、可能な方には研究寄付を呼びかけているようです。

☞ 転載・引用
一部の図やデータは情報源から転載引用させていただきました。スペースの都合でレイアウト編集してあります。
記述はできるだけ原典の表現を尊重していますが、抜粋紹介のため、図を含めて表現や用語を変更・省略・整理していますのでご了承ください。
正確を期したい場合は原情報にあたってください。

📖 情報源・参考情報
 EL BORDE
  野村證券
  https://www.nomura.co.jp/el_borde/method/0036_1/
  https://www.nomura.co.jp/el_borde/method/0036_2/

 うつ病のためのメタ認知トレーニング(D-MCT)
  ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センター臨床神経心理学科
  https://clinical-neuropsychology.de/d-mct-manual-japanese/

👀
私はメタ認知と言うほどではないが、それ擬きとして、日頃つぎの点を心がけています。私だけの言葉で一般性はないかと思いますが、物笑いの種までに。

  • 感情、感覚を言葉にし、視点を変え別の言葉を探し、最初の感覚を検証する
  • 思考では、思考時点までの経過を、見たり知る作業をできる限り怠らない
  • 予備知識をフル動員し、最初は意識的にスローダウンする

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